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Dog Jiggyインタビュー|埼玉・鴻巣で育ったルーツと、新曲「OUT SIDE」に込めたストリートの現実

  • 執筆者の写真: スラムリッチ
    スラムリッチ
  • 18 分前
  • 読了時間: 11分

Dog Jiggy
埼玉県鴻巣市を拠点に活動するラッパー/プロデューサー、Dog Jiggy。


幼少期から車や音楽、ストリートカルチャーが身近にある環境で育ち、学生時代はバスケットボールに打ち込んだ。高校時代には家庭環境の変化や経済的な苦しさを経験し、その最中にHIPHOPと出会った。


17歳頃からサイファーを始め、地元・鴻巣で仲間たちと音源制作を開始。現在はラッパーとしてだけでなく、自身でトラック制作も手掛けている。


新曲「OUT SIDE」で描かれているのは、Dog Jiggy自身が実際に見てきた“外の世界”だ。


幼少期からラップを始めるまでの経緯、2Pacから受けた影響、DJ Ogdoadとの制作、幼なじみと作り上げたMV、そして現在の埼玉HIPHOPシーンへの思いまで話を聞いた。


2歳の頃に家を失い、鴻巣へ
Dog Jiggy

――まず、Dog Jiggyさんはどんな場所で、どんな少年時代を過ごしましたか?


Dog Jiggy:

2歳くらいまでは桶川に住んでいました。祖父の代で、バブル崩壊の影響もあって億単位の借金ができてしまって、2歳の頃に家を追い出されるような形になりました。実家と呼べる場所がなくなってしまったんです。


――その後はどこで暮らしていたんですか?


Dog Jiggy:

母の父の助けにより、なんとか鴻巣へ引っ越して、住むこととなりました。


――その後、鴻巣で育ったことは、現在の音楽にも影響していますか?


Dog Jiggy:

そうですね。父や祖父も含めて、親族には車屋をやっている人が多かったんです。車と音楽は結構密接でしたし、外国人の方が車を買いに来ることも多かったです。


おじさんにあたる人が上尾のカラーギャングにいたりもして、そういうカルチャーは身近にありました。


車、外国人、ストリートカルチャー、そして音楽。


後にDog JiggyがHIPHOPへ進んでいく背景には、幼い頃から触れていたこうした環境があった。


バスケをしている横で、HIPHOPが流れていた

――学生時代はバスケットボールに打ち込んでいたそうですね。


Dog Jiggy:

そうですね。中学生からバスケを始めました。高校時代もずっとやっていて、地元は結構バスケが盛んだったんです。


上谷公園のバスケットコートでバスケをしていたんですけど、フィリピンの方だったり外国人の方も一緒にバスケをしていて、そこで普通にHIPHOPが流れていました。


――意識してHIPHOPを聴き始める前から、身近にあったんですね。


Dog Jiggy:

そうですね。バスケをしている場所で普通にHIPHOPが流れていたので、自然と身近にある環境で育った感じです。


「自分だけ貧乏だと思う時もあった」
Dog Jiggy

バスケットボールに打ち込み、プロ選手を目指していたDog Jiggy。


しかし、高校進学後に家庭環境が大きく変化する。


――高校時代はかなり大変な時期でもあったんですよね。


Dog Jiggy:

高校1年生の時に両親が離婚して、そこから生活が厳しくなりました。


私立高校に通っていたんですけど、周りは比較的裕福な家庭の生徒が多かったんです。その中で、自分だけ貧乏だと思う時もあったんですけど、後に自分より大変な環境にいる仲間とも出会っていきました。


家に帰っても食事がない時期もありましたし、お金がなかったのでアルバイトをしながらバスケを続けていました。


――それでも当時はプロを目指していた?


Dog Jiggy:

目指していました。ただ、なかなか結果も出なかったですし、バスケだけで生活していくのは難しいんじゃないかと思うようになりました。


生活のためにアルバイトを続ける一方で、当時付き合っていた先輩たちの影響から、違法薬物の売買に関わるような危険な環境にも足を踏み入れていたという。


そんな高校生活の中で、Dog Jiggyはラップと出会うことになる。


車の中で始まった、最初のサイファー
Dog Jiggy

――ラップを始めたきっかけは?


Dog Jiggy:

高校2年生の時に、先輩からラップをやろうと誘われたのがきっかけです。


最初は車の中でした。先輩たちと一緒に移動している時にビートが流れていて、その場のノリでみんなでサイファーを始めたんです。


そこで初めてラップをしました。それが自分のラップキャリアのスタートですね。


――その時点で「音楽をやっていこう」と思ったんですか?


Dog Jiggy:

元々、歌が得意だと感じていたんです。苦しい生活の中で言葉に救われたので、自分も言葉で人の心を動かしたいと思いました。


バスケットボールで思い描いていた未来が少しずつ遠ざかる中で、Dog Jiggyは音楽という新しい表現を見つけた。


2Pacに惹かれた「逆境に向かっていく勢い」

――当時、特に影響を受けたアーティストはいますか?


Dog Jiggy:

2Pacですね。


もちろんリアルタイムでその時代を経験していたわけではなくて、17、18歳くらいの時に聴いたんですけど、逆境に対して向かっていく勢いだったり、ラップやリリックに一番惹かれました。


――一番好きな曲は?


Dog Jiggy:

「Holla At Me」です。



当時のDog Jiggy自身も、家庭環境や経済的な苦しさの中にいた。


だからこそ、逆境や葛藤をそのままエネルギーに変えていく2Pacの音楽に、自分自身を重ねる部分があったのかもしれない。


大宮から鴻巣へ。スマホで録った最初の一曲

――車の中でラップを始めた後は、どんな活動をしていたんですか?


Dog Jiggy:

17歳くらいの時に、大宮のソニックシティ周辺にダンサーの方たちが集まっている場所があって、そこでサイファーをしたりしていました。


その後、「地元でもやりたいな」と思うようになって、鴻巣駅の東口でラップをしていました。5、6人くらいで集まっていましたね。


――初めて音源を作ったのもその頃ですか?


Dog Jiggy:

そうです。


みんなでラップしているうちに音源を作ってみたくなって、実家の一室に鴻巣の仲間を呼びました。


フリートラックを使って、スマホのマイクでRECしたのが最初ですね。


――完成した曲を聴いた時はどうでした?


Dog Jiggy:

最初は本当にゴミみたいな曲でしたね(笑)。


本格的なスタジオもマイクもない。


それでも、地元の仲間と一緒に自分たちの音楽を形にした。


そのDIYなスタートは、現在のDog Jiggyの制作スタイルにもつながっている。


本名の「神」から生まれた“DOG”

――「Dog Jiggy」というアーティスト名には、どんな由来があるんですか?


Dog Jiggy:

本名の名字に「神」が付くんです。


その「神」を英語にするとGODじゃないですか。それを逆から読むとDOGなので、そこからDogを取りました。


――Jiggyの方は?


Dog Jiggy:

JAY-Zが好きだったこともあって、そこからJiggyを付けました。


あとは「J」という文字に自分の中でいろいろ意味があったんです。Japanという意味もありますし、当時一番ハマっていたのがJazzy HipHopだったので、Jが付く名前にしたかったんです。


自身の本名、好きだったアーティスト、当時夢中になっていた音楽。


それぞれの要素を組み合わせて、現在の「Dog Jiggy」という名前が生まれた。


ボロボロのノートPCから始めたビートメイク

Dog Jiggyは現在、ラッパーとしてだけでなくプロデューサーとして自身でトラックも制作している。


――自分でビートを作り始めたきっかけは?


Dog Jiggy:

楽曲をフリートラックで作り始めて、ライブをしようと考えていく中で、経験のないLamiroにDJをお願いしたんです。


それとは別で、さらに作ったことのないbeatを「作ってよ」と頼んでいたんです(笑)。


19歳くらいの時にLamiroがPCを買ったんですけど、なかなかできなかったので、「じゃあ自分でもやってみようかな」と思いました。


家にボロボロのノートPCがあったので、そこにソフトを揃えて、自分で制作を始めたのがきっかけです。


スマートフォンを使った最初のRECと同じように、Dog Jiggyのビートメイクも、身近にある機材から始まった。


“OUT SIDE”=自分たちが生きている外の世界

――新曲「OUT SIDE」は、どんな状況や思いから生まれた楽曲ですか?


Dog Jiggy:

自分の周りにはプッシャーをやっている人も多いですし、捕まってしまった仲間も多いんです。


家族を持っている仲間もいますし、みんなそれぞれ生活がある中で、目的としてはお金という部分が大きいと思っています。


自分自身も仕事をしていて、部屋の中にいる時間より外にいる時間の方が多いんです。


だから「外の世界」「ストリート」という意味を込めて、「OUT SIDE」というタイトルにしました。


Dog Jiggyにとっての“OUT SIDE”は、単純に屋外を意味する言葉ではない。


仕事も、仲間たちが生きるストリートも、その中で起きる出来事も、すべてが「外の世界」に含まれている。


自身が実際に見てきた生活そのものが、この楽曲の背景にある。


DJ Ogdoadと一緒に作り上げたサウンド
Dog Jiggy
Atsuki氏のスタジオでREC

――「OUT SIDE」のDJ Ogdoadさんとは、どのように制作を進めたんですか?


Dog Jiggy:

最初にちゃんと会ったのは、Atsukiさんのスタジオでした。


以前から存在は知っていて、042GHXSTさんをプロデュースしていたことも知っていました。


その後、渋谷のclub asiaなどで何度か会って、音楽の方向性だったり、いろいろ話していく中で仲良くなりました。


それで自分からOgdoadさんに「今度良かったら一緒に作りましょう」と誘いました。


実際の制作は、板橋にあるDJ Ogdoadの自宅で行われた。


Dog Jiggy:

自分の要望を伝えながら、その場で一緒に作っていきました。


楽曲が完成し、リリースの準備も整った。


しかし、そのタイミングでDJ Ogdoadが逮捕されたという。


Dog Jiggy:

リリースの準備が整ったところで、Ogdoadさんが捕まってしまったんです。


それで「OUT SIDE」のMVの最後には「FREE DJ OGDOAD」と入れました。


その後、7月31日に一時的に出てくるタイミングがあって、本当にびっくりしましたね。


REE DJ OGDOAD
「OUT SIDE」のMVの最後

作品で描いたストリートの現実と、制作後に起きた現実。


「OUT SIDE」という一曲に、予期せぬ形で現実の出来事まで重なっていった。


高校時代から続くLamiroとの関係

「OUT SIDE」のミュージックビデオを手掛けたのは、Dog Jiggyの高校時代からの友人であるLamiro。


二人の関係は、音楽よりも先にバスケットボールから始まっている。


――Lamiroさんとはどんな関係なんですか?


Dog Jiggy:

高校時代から一緒で、自分が苦しかった時期のことも知っています。


同じバスケ部だったんですけど、バスケをやっている中で、お互いHIPHOPカルチャーが好きになっていきました。


そこから自分はラッパーを始めて、ライブをするようになる中でLamiroにDJをお願いしました。


昔から一緒に何かを作っていますし、今も同じような形で制作を続けています。


高校時代に同じバスケットコートに立っていた二人が、現在は音楽と映像を通して一つの作品を作っている。


「言葉にしなくても伝わっている」

――完成したMVを観て、幼なじみだからこそ「自分のことを分かっているな」と感じた部分はありますか?


Dog Jiggy:

自分の中に、MVをリリースしたいタイミングの感覚があるんです。


Lamiroはそこを察してくれて、今回も4日くらいで映像を作ってくれました。


「よし、リリースするぞ」というタイミングでOgdoadさんが捕まるんですけど(笑)。


でも、言葉にしなくても伝わっているなという感覚はあります。


作品の方向性を一から細かく説明しなくても、互いの感覚が共有されている。


それは、高校時代から長い時間を過ごし、同じカルチャーを見てきた二人だからこその関係なのだろう。


「落ち着いた今だからこそ、埼玉からニューカマーが出てくる」

――今の埼玉のHIPHOPシーンについて、Dog Jiggyさん自身はどう感じていますか?


Dog Jiggy:

良くも悪くも、少し厚みがなくなっているというか、薄くなっているように感じます。


以前に比べると、活気が少し落ち着いているような感覚はありますね。


――以前はかなり勢いがありましたよね。


Dog Jiggy:

舐達麻がすごく盛り上がっていた時期もありましたし、あの頃と比べると今は落ち着いている感じがします。


ただ、落ち着いているからこそ、ここからまた埼玉のニューカマーが出てくるんじゃないかとも思っています。


――Dog Jiggyさん自身も、その中に入っていきたい?


Dog Jiggy:

そうですね。そこに出ていきたいです。


シーンが落ち着いたことを悲観するのではなく、その空白から新しい存在が出てくる。


Dog Jiggy自身も、その一人として埼玉から存在感を示していきたいと考えている。


次のEPで聴いてほしい「Another Me」

――最後に、これから初めてDog Jiggyさんを知る人に、まず聴いてほしいものがあれば教えてください。


Dog Jiggy:

これからEPを出す予定で、その中には「OUT SIDE」も入っています。


サウンドとしてはStockton系のジャンルなんですけど、内容としては自分が見てきたストリートカルチャーが中心です。


その中でも「Another Me」という曲は、メッセージをしっかり聴いてほしいです。


自分で作ったトラックでもあるので、ぜひ聴いてもらいたいですね。


---


2歳の頃に生活の拠点を失い、母方の祖父の助けを受けて鴻巣へ。


バスケットボールとHIPHOPが同じ場所に存在していた地元での日々。


家庭環境の変化や経済的な苦しさに直面した高校時代に、車の中で偶然始まったサイファー。


大宮でラップし、鴻巣駅前に仲間と集まり、スマートフォンで初めての曲を録音した。


その後、自宅にあった古いノートPCでトラック制作を始め、高校時代からの仲間と現在まで作品を作り続けている。


Dog Jiggyの音楽にあるストリートは、作られたイメージではない。


自分自身と、周囲の人間たちが実際に生きてきた世界だ。


その生活を「OUT SIDE」という言葉に落とし込み、今度は埼玉・鴻巣から、次のステージへ向かおうとしている。

楽曲情報
OUT SIDE

アーティスト名: Dog Jiggy

楽曲名: OUT SIDE

プロデュース: DJ Ogdoad


配信URL


CREDITS

STUDIO / LOCATION ATSUKI(Instagram)



「OUT SIDE」MV DIRECTOR Lamiro(Instagram)

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