火をくぐり抜け、路地裏で光を放つ──MICHELANJERO & DJ SPACE KID「MORES」レビュー
- PAPA- KIMG
- 6月15日
- 読了時間: 2分

あの名曲が、川崎の路地裏で生まれ変わった。
"MICHELANJERO"と"DJ SPACE KID"による新曲「MORES」6月4日配信リリース、MVが6月11日に投下された。Chaka Khanの名曲「Through the Fire」をサンプリングしながら、オリジナルとはまったく違う温度と質感をまとったストリートの叙情詩だ。
"MICHELANJERO"──詳細なプロフィールはほとんど明かされていないが、KOGARASUの一員として川崎・京浜湾岸エリアから姿を現し、そのリリックには常に地元への愛と苛立ちが滲む。
この「MORES」でも、日々を噛みしめながら進むしかない男の背中が見えるような言葉を重ねていく。その言葉選びにはどこか古風な美意識すら感じられ、まるで時代に抗うようなヒップホップ観がそこにはある。
トラックを手がけたのは、川崎のベテランDJであり、"MIXTAPE HUSTLER"の異名を持つ"DJ SPACE KID"。
自身のDJやビートメイカーとしての活動と並行してA-THUG、STICKY、KOWICHIといった川崎を代表するアーティストたちのバックDJとしても長年地元シーンを支えてきた存在だ。2025年からは新たに川崎の南北の境界線である溝の口にCentral Cartelを立ち上げ、若手との架け橋としても動き出している。
そんな彼の手にかかると、あの「Through the Fire」は甘くもほろ苦い川崎の空気を纏いながら、夜の街角にふわりと浮かぶような質感に変貌する。
何気ない一言、シンプルなフック、ビートの余白──そのすべてが、都市の片隅で生きる者たちの“リアル”をそっとすくい取る。「派手じゃないけど刺さる」、そんな川崎のHIPHOPのひとつの美学がこの曲には詰まっている。
地元の歴史を背負いながら、今の空気を吸っている。そんな二人が交差した、静かに胸を打つ1曲。
是非にチェックワンツーおすすめします!
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シングル「MORES」
DJ SPACEKID
MICHELANJERO
text by PAPA-KIMG(パパキムジー)
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